食品添加物は本当に危険?食品メーカーで品質管理をしていた私が伝えたい「本当のところ」

食事・栄養

「食品添加物=悪」というイメージ、よく見かけますよね。でも、食品メーカーで品質管理や開発の仕事をしていた私からすると、それはちょっと一面的だなと感じます。今日は、作り手の側にいたからこそ見えた「食品添加物の本当のところ」を、できるだけ冷静にお話ししたいと思います。

この記事でわかること
  • 食品メーカーの中にいた人間から見た、添加物が使われる本当の理由
  • 味の濃い商品が多い理由(試作品を食べて分かったこと)
  • 添加物は、実はメーカーにとっても「高い買い物」だということ
  • 「三分の一ルール」という商慣習と、食品ロスのつながり
  • 日本の「発酵」と食品添加物は、正反対の方向を向いているという話
  • 私たちの買い方が、作られる商品を変えるということ

※食品添加物は、国の基準で安全性が確認され、使用が認められているものです。この記事は添加物を否定したり不安をあおったりするものではなく、食品メーカーにいた私が感じた「作り手の事情」と「消費者にできること」をお伝えするものです。また、食品業界全般についての話であり、特定の企業や商品について述べたものではありません。

食品メーカーは、本当はいいものを作りたい

まず知ってほしいのは、食品メーカーには「本当はいいものを作りたい」と思っている人や会社がたくさんあるということ。でも、そうできない理由があるのです。

商品開発や試作をしている人たちは、想像していただいた通り、食べることや作ることが好きな人が集まっています。おいしいものを作りたいという気持ちは、この記事を読んでくださっている方と同じくらい強いと思います。

それでも、作りたい商品がそのままの形になることは、そう多くありません。原料の価格、生産にかかるコスト。この2つの前で、「本当はこうしたい」は何度も削られていきます。

開発だけでは商品は決まらない。「売り文句」がいる

そしてもうひとつ、開発の人間だけで商品が決まるわけではありません。売る側である営業の意見も、とても大切です。

新商品を出すなら、「今までと何が違うのか」「他社の商品と比べて、何がどのように優れているのか」という売り文句が必要になります。それがなければ、そもそもスーパーや小売店に置いてもらえないからです。

そしてこの売り文句の中に、「期限が長いほうが売りやすい」という項目が入ってきます。棚に長く置ける商品は、お店にとってありがたいものだからです。こうして、期限を延ばす方向に力が働いていきます。

なぜ、味の濃い商品が多いのでしょうか

ここは、中にいたからこそ知った話です。

食品添加物を加えて、まだ他の調味料を加えていない段階の試作品を食べたことがあります。正直に言うと、薬品のようなにおいがして、そのままでは食べられませんでした。

ただしこれは、調味料を入れる前の「途中の状態」の話です。お店に並んでいる商品そのもののことではありません。ここは誤解しないでいただきたいところです。

では、それがどうやって商品になるのか。答えはシンプルで、しっかりと味をつけるのです。強い味がつけば、気にならなくなります。そうして、私たちがスーパーで手に取る商品になっていきます。

これを知ったとき、私はメーカーを責める気持ちにはなりませんでした。やっていることは、私も同じだからです。いい素材が手に入らなかった日は、私だって家で味を濃くしてごまかします。限られた材料と時間の中でおいしく食べられるようにするのは、家庭でも工場でも変わりません。味をととのえるのは、ごまかしであると同時に、技術でもあるのだと思います。

それに、濃い味を「おいしい」と感じて選んでいるのは、私たち消費者でもあります。薄味の商品と、しっかり味のついた商品が並んでいたら、どちらが多く売れるでしょうか。メーカーはその答えを知っているだけです。

ただ、逆に言えることもあります。素材そのものがいいものは、濃い味付けをする必要がありません。私が調味料や素材にこだわるようになったのは、このときの経験が大きいです。

実は、添加物はメーカーにとっても「高い買い物」

ここは、意外に思われるかもしれません。

食品添加物は、あくまで原材料の一部です。つまり、入れれば入れるほど材料費はかかります。必要がないなら、メーカーだって入れたくないのです。入れずに済むなら、そのぶん安く作れるのですから。

添加物は、添加物を作っているメーカーから買います。私は「結構高い」と聞いたことがあります。しかも添加物にはそれぞれ役割があって、より効果の高いものを求めれば、その分だけ値段も上がります。

「メーカーが儲けるために添加物を入れている」というイメージがあるとしたら、少なくとも私が知るかぎりでは、そうではありませんでした。むしろお金を払ってでも入れなければならない理由のほうが先にあったのです。

では、その理由とは何なのでしょうか。

添加物が使われる理由は「私たち消費者」にある

たとえば、色をよくする色素や発色剤。これを入れないと、スーパーに並んだときに、隣の鮮やかな商品のほうがおいしそうに見えて、結局そちらが売れてしまいます。見た目が良くないと、私たちはなかなか手に取りませんよね。

歯ごたえや舌ざわりといった「食感」を良くするためにも、添加物はたくさん使われています。これも、私たちが大好きなあの食感を守るため。

買い物をしているとき、私たちは無意識にこんなふうに思っていないでしょうか。

  • なんだか色が悪いな。おいしそうに見えない
  • 消費期限が短い。すぐ悪くなってしまいそう
  • 常温で置いておけないのは、正直めんどうだな
  • 買ってきた食品を、どう管理すればいいのかよく分からない
  • コンビニに行けば、24時間いつでも新鮮な食べ物が買える

ひとつひとつは、ごく自然な気持ちだと思います。私も同じです。でも、この「自然な気持ち」の集まりが、そのまま商品に求められる条件になっていきます。

私たちは、食べ物が手に入ることを当たり前だと思っています。でも、なぜ24時間いつでも新鮮な食べ物が並んでいるのでしょうか。なぜ、それは腐らないのでしょうか。

答えは単純で、誰かが「腐らないようにする工夫」をしてくれているからです。便利さは、いつも何かと引き換えになっています。その引き換えに何を差し出しているのかを、一度だけ考えてみてもいいのかなと思うのです。

売れなければ、会社はつぶれてしまいます。だから、メーカーは結局「売れる商品」を作らざるを得なくなる。つまり、どんな商品が作られるかは、消費者である私たちが「何を買うか」にかかっているのです。これは、私がこの記事で一番伝えたいことです。

【コラム】「三分の一ルール」と食品ロス

もうひとつ、あまり知られていない裏側の話を。食品メーカーがスーパーなどの小売店に商品を卸すとき、「賞味期限や消費期限が、一定割合以上残っていないと受け取ってもらえない」というルールがあります。いわゆる「三分の一ルール」です。

製造から賞味期限までの期間を3分割して、最初の1/3を過ぎると納品できない、という商慣習。これがまだ食べられる食品を捨てる「食品ロス」の一因になっていますし、期限を延ばすために添加物を多めに使わざるを得ない理由にもなっています。

最近は、食品ロスの観点から国もこのルールの見直しに動いています。農林水産省は「納品期限をゆるめる」「賞味期限を年月表示にする」「賞味期限そのものを延ばす」という3つをセットで進めていて、納品期限を2分の1にゆるめた小売事業者は、2024年10月末の時点で339社まで増えました。1/3から1/2にするだけで87億円分の廃棄を防げるという試算もあるそうです。

ちなみに日本の「3分の1」は、世界的に見てもかなり厳しいほうだと言われています。アメリカは1/2、ヨーロッパは2/3が目安だそうです。少しずつでも、いい方向に変わっていくといいなと思っています。

ちなみに、この「賞味期限をどう考えるか」は、家庭の備蓄でも同じ問題になります。転勤族の私がどう備えているかは転勤族の防災|「家探しの段階」からやっていることに書きました。

日本は「発酵」の国。添加物は、その逆を行っているのかもしれない

ここからは、完全に私個人の感じ方の話です。

日本は高温多湿で、細菌が繁殖しやすい国です。放っておけば、食べ物はあっという間に傷んでしまいます。

そんな環境の中で、体を守るために私たちの祖先が発達させてきたのが発酵食品でした。味噌、醤油、漬物、納豆。微生物の力を借りて、時間をかけて、保存性とおいしさを同時に手に入れるという方法です。

一方で食品添加物は、時間をかけずに、外から加えることで同じ結果を得ようとする方法です。目指しているところは似ているのに、たどり方がまったく違います。

私にはこの2つが、正反対の方向を向いているように感じられます。どちらが正しいという話をしたいのではありません。ただ、日本という土地が長い時間をかけてたどり着いた答えが「発酵」のほうだったという事実は、私にとってとても大きいのです。

だから私は、毎日の食事をできる範囲で発酵の側に寄せるようにしています。特別なことはしていなくて、調味料をちゃんとしたものにする。それだけでもずいぶん変わります。

本当にいいものは、どうしても高くなる

おいしいものを作る方法は、家庭の料理とまったく同じだと思っています。材料にお金をかけるか、手間ひまを惜しまないか。突きつめると、この2つしかありません。

でも商品づくりには「コストを抑える」という条件がついて回ります。だからメーカーは、原材料の値段を抑え、機械を上手に使って人件費を抑える。そういう工夫を重ねて商品を作っています。企業努力という言葉は、こういう場面で使われるものだと思います。

裏を返せば、本当においしくて体にやさしいものを作ろうとすると、どうしても高くなります。いい原材料を使い、昔ながらの手間のかかる製法で作る。手間がかかるということは、人件費も時間もかかり、大量生産ができません。だから、価格に反映されてしまうのです。

もちろん、安いものを買いたくなる気持ちはよく分かります。私だってそうです。それに、安いものがすべて悪いとも思っていません。企業努力で良いものを安く届けてくれる場合もありますから。

ただ、私は、少しでも丁寧にものづくりをしている食品メーカーや作り手さんを応援したい。だから、買い物のときは原材料表示を見て、できる範囲で「これは」と思えるものを選ぶようにしています。国産や地産地消にこだわるのも、同じ気持ちからです。

※私が普段えらんでいる調味料の話は、こちらにまとめています。
私がこだわって使っている基本の調味料はこちら

私たちの「買う選択」が、未来を変える

・食品メーカーには「いいものを作りたい」人や会社がたくさんある
・でも原料費・生産コスト・営業の売り文句という現実がある(期限が長いほど売りやすい)
・味が濃い商品が多いのは、素材を補うため。ただしそれは家庭の料理でも同じこと
・添加物は原材料の一部で、決して安くない。必要がなければメーカーも入れたくない
・色・食感・日持ち・24時間の便利さを求めているのは、実は私たち消費者でもある
・「三分の一ルール」が食品ロスや添加物使用の背景にある(国も1/2へ見直し中)
・高温多湿の日本がたどり着いた答えは「発酵」。添加物はその逆を行っていると私は感じる
・本当にいいものは、手間がかかるぶん高くなりやすい
・安いものが悪いわけではないが、買う選択が作り手を支える

添加物を全部こわがる必要はありません。でも、「自分は何を選ぶか」を少し意識するだけで、その積み重ねが、いいものを作る人たちを支え、めぐりめぐって私たちの食卓を豊かにしてくれると、私は思っています。

※この記事は、食品メーカーで働いた私の体験と考えにもとづくものです。食品添加物の安全性については、国の基準で管理されています。気になる方は、消費者庁などの公的な情報もあわせて確認してみてくださいね。

食品のパッケージの読み方という意味では、アレルギー表示の記事もあわせてどうぞ。2026年4月に表示のルールが変わっています。

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